2号:界面活性剤の働きは?石鹸は自然のものか?

界面活性剤には、付着力や浸透力が強いメリットもあるが、タンパク質変性作用や攻撃性と言うデメリットもある。石鹸は立派な合成の界面活性剤 

シャンプーはその目的と方法で差が出る

今号の問題提起!は、シャンプーはその目的と処方についてです。

育毛関係に限りませんが、ヘアケア製品を扱っているホームページや掲示板等でよく言われるのがシャンプーの成分的なことです。特に言われるのが以下のことです。

  • 合成の界面活性剤が悪い
  • 石油系の界面活性剤が悪い
  • 植物性の界面活性剤は良い
  • 石鹸シャンプーは界面活性剤が入っていないから良い
  • シリコンが入っているのが悪く、入っていないのが良い
  • 保存料が入っているから悪く、入っていないのが良い

前号では以上のことは全くのナンセンスなことですよ、と書きました。理由は以下の通りです。

製品のことを知らない人ほど成分的なことを言う

成分的なことを言うのは、製品のことをよく知らないからです。また成分的なことを訴えるのは、「知らない人」に訴えやすいからです。

確かに界面活性剤には、言われている通り悪い点は多いです。でもこれを悪く働くようにするかどうかは成分的なことではなく、その製品の作り方次第なのです。

作り方次第では悪いと言われることが実際に悪く働くのです。でも作り方次第では悪いと言われることがそんなに悪くは働かないのです(実際上は洗うと言う行為自体が頭皮を痛めるので、痛めないような使い方や方法が大切)。

界面活性剤の良い所

界面活性剤は、その良いところがヘアケア製品に利用されています。

  • 付着力が強い
  • 浸透力が強い
  • 汚れをよく落とす
  • 油と水を混ぜるのに役立つ
  • 帯電防止作用がある=いわゆるサラサラさせる
  • 安価である

界面活性剤の悪い所

物事には必ず二面性があり、界面活性剤にも悪いところがあります。

  • 細胞を攻撃する
  • 浸透力が強い
  • タンパク質変性作用がある=細胞の形を変えるとも言える

上記の良い所も悪い所も合成であろうが石油系であろうが植物生まれであろうが何であろうが変わらないのです。違うのは、その作用の強さ加減。比較的石油系の方が強く、比較的アミノ酸系の方が弱い。

ヘアケア製品に使う側が求める効果

市販のシャンプーは、使う側(消費者)が使った時の感触を求めるので、使う側の感触を充足させるような作りになっています。だから、以下のような目的の為に作られています。

  • さっぱりする←脂分を良く落とす
  • 洗い上がりが良い←脂分を良く落とす・サラサラさせる
  • きしまない、さらさらする←サラサラさせる・付着力が強い
  • 艶やかになる←付着力が強い

界面活性剤の良いところが有効に利用できる

こう見ると、界面活性剤の良い所が十二分に働くように作られるようになります。良い所が十二分に働くように作ると当然のごとく悪い所も十二分に働くのです。

また、界面活性剤は安価であればあるほど良い所も悪い所も十二分に働くらしいので、作る側にとってみても価格競争上都合が良いし、使う側にとっても手軽な価格で、自分が求める効果的なヘアケア製品を買えるので都合が良いのです。

使う側(消費者)の求める感触や使い心地、スタイリング、手頃な価格を優先すると、界面活性剤の良い所を活性化させることが必要な訳です。

界面活性剤の悪いところも有効になる

ところが、このような作り方をすると悪い所も活性化され、当然頭皮は過剰に綺麗になりますが、綺麗になった所に元々付着力の強い界面活性剤が頭皮に付着します。強い浸透力のある界面活性剤は、頭皮の細胞に浸透して痛め弱らせます。

界面活性剤は脂分ともよく混ざる

加えて皮脂(脂)ともよく混ざることもあり、普通なら浸透することがあり得ない毛穴からその浸透力の強さから浸透していき、毛を作る組織を攻撃し痛め弱らせていきます。

こういった感触を優先している市販のシャンプーを毎日使い、過剰に洗髪して上から上から界面活性剤を押し込んでいるのですから、頭皮が痛められるし、毛を作る組織も痛められるのです。

シャンプーの目的次第で良い悪いが分かれる

ここで間違って欲しくないのは、市販のシャンプーのような目的の違うシャンプーで過剰に頭皮を洗うと悪いと言うこと。

シャンプーなら、全てが全て悪いのでもなければ、目的次第で問題ない場合もあり、過剰になってなければ問題ない場合がほとんど。何でもかんでも一緒くたに捉えがちですが、間違わないようにお願いします。

じゃ、石鹸シャンプーはどうでしょう?

所謂シャンプーに使われているような界面活性剤が使われていない、と言う良い所はあります。(でも、石鹸自体は大きい意味での界面活性剤陰(イオン界面活性剤=アニオン界面活性剤)です

では、皆さんは手が油で汚れた時には何で洗い流しますか?普通は石鹸ですよね。石鹸は違った意味で頭皮の脂分を過剰に洗い流すし、石鹸自体は昔は殺虫剤に使われていた程細胞には悪い上に頭皮の皮溝に残留しやすいのです。

石鹸は立派な合成の界面活性剤

また、石鹸は頭皮のバランスを崩して頭皮の環境を悪くするので、良い毛を育てたい人には向かないシャンプーとも言えます。まあ、石鹸は、油とアルカリ性(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)のものを化学合成して作るので、合成物とも言えます。自然のものでもない立派な合成物だとも言えますから、「石鹸だから大丈夫」というのは何の根拠もない話です。

シャンプー法も問題になる

上記にも関わらず、シャンプーするのに5分も10分もかけてしっかり丁寧にシャンプーしていると頭皮が駄目になるのは誰が考えても明らかです。

ですから、本当に薄毛を治したいならシャンプーの目的を考えた上げたうえで目的に沿ったシャンプー法を採らないといけないのです。

ところが現実には、私のところには合成とか石油系とか植物生まれとか石鹸とかに関係なく、メールでのご相談を頂きます。

石鹸シャンプーには界面活性剤が入っていないから大丈夫だと信じ込んでいる人までいて、石鹸信仰は相当根深いものだと思っています。

今は、ノンシリコンのシャンプーに関するご質問が多いです。

でも薄毛が解消するどころか、さらに悪くしているように見受けられます。本当のことを「知らないばかりに」「知らされないばかり」の不幸としか言いようがありません。

洗濯槽のように泡立つ

上記に記述した内容は、育毛の相談に見えられた人の頭皮の温浴をして洗い流して集めたお水を見ればよく分ります。

白く濁っていますし、かき混ぜればよく泡立ちます。どれだけ頭皮に付着しているかまた毛穴内部に残留しているのかの証拠です。石鹸シャンプーをお使いになっていた人の頭皮からは石鹸カスが取れることもあり、石鹸カスが取れると頭皮が柔らかくなるのです。

シャンプーについては、市販のものであればどんな製品も変わりませんから、本来はシャンプー法が非常に大切になってきます。

今号ではシャンプーの成分的なことを書きましたが、次号では洗い過ぎがどうしていけないのか、どうして頭皮が危ないのかについて書きたいと思います。

皮脂の分泌についても間違った認識を持っている人が多いので、これについて書きたいと思います。

成分的なことやシャンプーをどう見分けるのかについても少し書きたいと思います。

2号は平成14年(2002年)5月19日に配信したメールマガジンです。

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