93号:天然物、自然、食べられるものだから安全?

天然物や自然の物にも・化学合成された物にも、安全なものもあれば危ないものがあります。効果面でも同様です。安全性と効果は全く別次元の話です 

天然物・自然のものだから安全とは限らない

今号の問題提起!
天然物・自然の物だから安全とは限らない。アレルギー物質は全て自然のものだし、化学合成されたものには安全性の高いものも多い。

前回は、抜け毛について、相当詳しく書きました。その為でしょうか?読者の方から抜け毛に関する質問を頂きました。

「抜け毛が薄毛の原因ではないのが分かったけど・・・」と、その後にお聞きした内容に、この人独自の問題がありました。

抜け毛に対して惑わされている

個別の話なのでここでは記載しませんが、どうも多くの人は、抜け毛に対してもっともらしく聞こえるけど、よ~く考えると変な情報に惑わされているようです。

例えば、抜け毛を10本に減らして40本生やせば+30本だから、そのようにすれば毛が増えるのだ。

毛は単純に足し算引き算の世界にはない

単純に足し算引き算の世界で抜け毛を捉えがちですが、「毛が抜けること」と「毛が生えること」とは表と裏の関係にありますから、そんな都合の良いことにはならないのです。

10本抜ければ10本発毛してくるものですし、60本抜ければ60本発毛してくるものです。

抜けるのは一瞬・生え変わるには年月がかかる

勘違いする元になっていることは、抜けるのは一瞬だが、抜けた毛が生え替わってくるにはそれ相応の月日がかかることです。

ここら辺の仕組みを理解していないから、抜け毛が減って毛も減っている人が多いのです。何年もの間抜け毛が少ない人がいらっしゃいましたら、ご注意くださいね。

生え変わりの仕組みを理解する

ひとたび抜け始めて薄くなり始めると、進行を止めるのもすぐには無理ですし、進行が止まっても回復するには相当年月がかかります。

これも、毛が抜けて生え代わってくる仕組み上仕方のないことです。

すみません。今日の本題が遅くなりました。

天然物、自然、食べられるものだから安全?

「天然物、自然、食べられるものだから安全?」だから毛が増えるのか?ってことが、今日の本題です。

天然物・自然のものほど怖い

まず分かって欲しいのは、天然物とか自然の物ほど怖いものはないってことです。そして、安全なことと効果があることとは全く別次元の話だってことです。(安全でないものは基本的に日本では販売できない)

特に現代人は、人工的な環境で生活している人が多いのですから、人工的でない環境に耐えられない人が多いのも現実です。

野山を駆け回ればよくわかる

もし、疑問に思われるなら、半袖・半ズボンで野山を駆け回ってみて下さい。

野山って、自然の物や天然物の宝庫です。ところが、特に都会育ちの人だと野山を駆け回れば、体中赤く腫れたり虫刺され状態になってしまいます。

アレルギー物質・毒も自然のもの

また、アレルギーの原因や毒になるものも、ほとんどが自然のものだと言うことです。

  • アレルギー物質:大豆・そば・ナッツ類・かに・花粉等々。
  • 毒になるのも:トリカブトやふぐ毒等があって、これらも自然でかつ植物に多いのです。

パラペンは大豆より安全?

合成保存料であるパラペンなんか、旧厚生省の表意指定成分と言うだけで危ないと言われますが、大豆なんかに比べるとよっぽど安全です。

パラペン感作を起こす人は、10000人に3人くらいと言われていますが(10000人に3人とは、ほとんどいないレベル)、大豆アレルギーの人は、100人に1人や2人いるのではないでしょうか?(100人に1人や2人とは、どこにでもいるレベル)

これらのことから、天然物だからとか自然の物だから安全とか安心と言うことはないのです。

食べるものと付けるものは次元が違う

次に、食べるものだから安全だ。だから、食べられるくらいものを使わないと駄目って言うこともおかしな話です。(保存料にパラペンを使っている食品だってあります)

オリーブオイルをお肌に使えるか?

例えば、食用のオリーブオイルがあります。どこのスーパーにも売っています。
これをお肌に使えるかどうかです。

試しに、買ってきたオリーブオイルをお皿に入れて、3時間~4時間ほど日光があたるところに置いて下さい。

どうなるか?答えを聞くよりも自分で試してみることをお奨めします。

こんなものをお肌に付けるとどうなるか?です。

庭に茂っているアロエをお肌に使えるか?

例えば、庭にあるアロエを取ってきて、皮をむいて焼酎に漬け込みます。所謂手作りの育毛剤になります。

実際に作って、使った人からの相談もありましたが、頭皮を駄目にしてしまい、毛を無くしていましたね。

安全性の次元が違う

食べるものと皮膚に使うものでは、用途が全く違うので、安全性の次元が全く違うのです。

もし、上記に書いたことで上手く行った人がいたのなら、それは、本当に運が良かったとしか言いようがありません。たまたま運が良かったことを、全ての人に良いなんて言わないで下さいね。お願いします。

以上のように、

  • 天然ものだからとか
  • 自然のものだからとか
  • 食べることができるからとか

は安全とは関係がないのをお分かり頂けましたでしょうか?

効果は有効成分の処方設計次第

そして、一番肝心なことは効果面ですよね。効果があるかどうかは次の要因により変わります。

  • 有効成分の配合率
  • 有効成分のグレード
  • 有効成分の処方設計
  • 有効成分と他の成分との配合比率

これら次第で効果は決まるのです。極端なことを言えば、同じ成分表記なのに、100ml10,000円のものも作れるが、100ml1,000円のものも作れるのです。

どっちに効果があるかって?そりゃ、正直に100ml10,000円で作られた方です。

93号は平成19年(2007年)4月19日に配信したメールマガジンです。

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