抜け毛が増えたり、抜け毛が減ったりするもの
今号の問題提起!
抜け毛が減って毛が増えることはない。抜け毛が減れば生え替わってくる毛の本数が減る。抜け毛の少ない人は毛の本数が少なく、抜け毛の多い人は毛の本数も多い。
「抜け毛が減れば、毛が増えるに決まるじゃん!」。これ、実は多くの人が毛のことを気にし始めると願う効果の第一です。
特に、昔は薄毛になることは無かった女性や若い男性に、抜け毛を減らそうとする傾向が非常に強いです。
抜け毛と薄毛には因果関係はない
でも、本当は、単に「抜け毛が増えること・減ること」と「毛が増えること・減ること」とには因果関係がないのです。
毛は抜けながら増えるし、抜けながら減っていくもの。と言うのが、本日の話題です。
抜け毛と言う言葉で煽られない為に
このメールマガジンを、発行当時から読んで下さっている人なら、「何を今更同じことを言うのだ!」とお怒りになるかもしれませんね。
94号~96号にかけて、「毛と植物の違い」や「頭皮と土壌の違い」をこと細かく書きました。ここを理解していると今回の話題の理由が理解でき、かつ、抜け毛予防で煽られることもないかと思います。
抜け毛が減っても毛は増えないことを理解して!
こと細かいこと何号にも渡って書いていたのは、抜け毛が減っても、毛は増えないのを理解する為に必要なことなんです。
要は、
- 毛は「あなた」そのもの=体の一部だけど
- 全て過去のものであって現在生きているものでは無いと言うことです。
▼1.毛は「あなた」そのもの=体の一部とは
異物が頭皮に生えているのではなく、口で食べたものが消化吸収され血液に乗って毛細血管を通り毛根にまで行き、そこで酵素の触媒で毛に変換されているのです。
「あなた」の体の中の化学反応で、皮膚や爪が作られるのと同じように、体の中で毛は作られているのです。
だから、毛は「あなた」そのものなのです。
毛髪から取れるDNA鑑定で、その人を特定できたり肉親かを調べることができるのは、毛は「あなた」そのものだからです。
毛が「あなた」そのものであれば、私たち人間の細胞は常に新しいものに生まれ替わることで生命を維持していますので、毛も常に古いもの=過去のものを排除して、新しいものに生まれ替わっていると言えますね。
これが、抜け毛。
▼2.毛は全て過去のものとは
ところが、毛は「あなた」そのものですが、血が通っているわけではありません。血が通っていないのですから、折ったり切ったりしても痛くも痒くもありません。
大まかには、毛は1ヶ月で1センチ程度伸びますから、根本から10センチくらいのところの毛の組織は10ヶ月くらい前の、食生活や生活環境・習慣・ストレスの度合いを表しています。
ヒ素中毒事件があった時に毛髪を調べるのは、その当時に摂ったヒ素が毛髪に残っているからなのです。
だから、抜け毛を減らせば古いものが残るだけなので、薄毛を解消できるわけでなく、古いものが多く残るようになるから、薄毛が表面化する時に抜け毛が急増するのですね。古いものが残る頭皮だから血行が悪いと言え、次の世代の毛は細い毛やさらに育たない毛しか残らなくなるのです。
そして皮肉なことに、抜け毛が減るとは古い毛が残ると言うことなので血行が悪くなっていき、次の世代の毛は「細く」「成長期の短い」毛に生まれ替わっていくことになるので薄毛は進行していくのです。
どのくらいの抜け毛の本数になるか?
細胞には寿命があります。全ての細胞が生まれ替わるのにかかる時間は、部位により大きく差があるようで、4ヶ月前後くらい~最長で7年の部位もあるようです。
1本の毛は何年で生まれ替わる?
じゃ、毛の生まれ替わりはどうなのか?と言うと、概算ですが2年~6年くらいで性差があるようです。(私は調べたことがないので)
- 男性で2年~3年
- 女性で4年~6年
全ての毛が、このくらいの期間で生まれ替わっているわけです。
総本数がどの程度あるかで、1日に生まれ替わる毛の本数が決まります。
- 毛の多い人で12万本くらい
- 普通で10万本くらい
- 少な目の人で8万本くらい
だそうです(私は数えたことがないので)。単純に計算すれば、以下のことが分かります。
- 毛の多い人ほど抜け毛は多く
- 毛の少ない人ほど抜け毛は少ない
と言えますね。
毛は必ず生まれ替わっている=抜けている
これらのことから分かることは、毛は人間の細胞の一つだから必ず順番に生まれ替わっていると言うこと。
それも、男性の場合1日平均90本くらいは抜けている。平均ですから、増える時は100本を軽く越え、減るときは70本くらいになります。
女性の場合、1日平均60本くらいは抜けている。平均ですから、増える時は100本近くになる場合もあり、減る時は50本くらいにはなります。
一応上記に書いたことは机上の理論の話です。では、現実にどうか?と言えばこの理論がそのまま当てはまります。
抜け毛が少なくて、毛の量も少ない
相談室でご相談を承っていますと、相談時に抜け毛が異常に多い人は少ないです。どちらかと言うと、抜け毛が少なくなっていて、薄くなっている人が本当に多いです。
回復するペースを見ていますと、
- 抜け毛の多い人の方が、回復ペースは速いですし
- 抜け毛の少ない人の方が、回復ペースが遅く難儀します。
毛の多い人少ない人で違う
- 元々の毛が太くて多い人の抜け毛は、普通の人より多いです。
- 元々の毛が細くて少ない人の抜け毛は、普通の人より少ないです。
抜け毛を減らしても毛は増えない
これら現実と理論と照らし合わせると、抜け毛を減らしても毛は増えないことが明らかに分かります。
毛が増えるには、「あなた」の毛の総本数を維持できるくらいの抜け毛の本数が必要で、単に抜け毛が減れば良いのではない、と言うことなんですね。
抜け毛が減ることが、毛が増える為の育毛の効果でもないと言えるのです。まぁ、抜け毛を減らして古い過去のものばかりを残すより、ちゃんと新しいものに生まれ替わらないと駄目ってことです。
99号は平成19年(2007年)7月12日に配信したメールマガジンです。